オフィスビル街としてのシカゴ

今回シカゴに行った一番の目的は、オフィス建築を見ること。

以前から建築家の人には、オフィスの集積やバリエーションを見るなら、ニューヨークよりもシカゴだって言われていたからだ。

実際行ってみると、古いものから新しいものまで、これほどのバリエーションのオフィスビルがコンパクトに揃った都市は、世界中でも珍しいと思う。

もうひとつの目的もあって、それは映画「ダークナイト」で描かれる、オフィスと高架鉄道の感じが、実際どんなものかを見てみたいってのもあった。

で、実際に行って、相当写真撮ったんだけど、なぜか見当たらず。

ダークナイトな感じの写真がいっぱい撮れて、感動してたんだけど。残念。)

こまめにバックアップが必要ってことが良く分かった。

 

神は細部に宿る

シカゴでは網羅的にオフィスビルを見て回るため、シカゴ建築財団の音声ガイドを利用した。

建築に興味がある人なら、利用して損は無いと思う。

ただし、極寒のシカゴを2時間も歩き回るのはかなりお勧めできないんで、行くなら冬を避けた方がいいと思ったけど。

シカゴの近代的なオフィスについては、近代建築の巨匠ミース・ファン・デル・ローエの思想に影響を受けた建築家たちが発展させたという歴史を詳しく解説してくれる。

いろいろなビルを見て回りながら、ミースの言葉で有名な「神は細部に宿る(God is in the detail)」を実感できるような、丹精な作りを感じることができる。

f:id:fiftyone29:20140117133154j:plain

 

今回写真を無くしちゃったけど、フランク・ロイド・ライトが内装を手掛けたオフィス「ルッカリー」なんかも、ため息ものの美しさ。

 

で、逆に疑問に思うことがある。

それはアメリカの建築物には、空間活用が上手くないものが多いってこと。

特に、ワシントンD.C.にあるようなモニュメント系は、大空間を持てあましちゃってる。

大きな建築物だけじゃなくて、個人の家でも感じる。

廊下とか踊り場が広いのはいいけど、物を置くと散らかるし、どうすればいいんだろうって感じ。

なんていうか、この多様な価値観みたいなものがアメリカってことなのかもしれないと思った。

 

(アップしたつもりが漏れてたのでアップしときます。)

ゲストハウス GuestHouse

千葉に居ます。

f:id:fiftyone29:20140516101057j:plain

今自分は千葉県南房総の保田(ほた)でホステル/ゲストハウスを計画しています。

まずはこの貸別荘にて、場所も含めた今後の運営方法を模索中。

合わせて友人達の助けを借りながら、ここの掃除と片付けをしてます。

梅雨が終わる頃には、具体的な話をご紹介できればと。

海から吹く風を感じるには、庭のハンモックが最高です。

I have a plan to start the hostel in this summer.

(Hostel is a kind of hotel. Several people sleep in a same room.)

Now, I stay in Hota town of Chiba Prefecture, And think about how to do that.

You wanna feel the wind from the sea?

The best way is to lay yourself on the hammocks at this garden.

f:id:fiftyone29:20140609164815j:plain

 

町までの主な交通手段 How to get to Hota town.

<車 By Car>

アクアラインを経由して館山道「鋸南保田」IC利用、東京都心から1時間。

From Tokyo(Central), It takes about 1 hour.

 

<電車 By Train>

JR内房線「保田」駅、東京駅から特急で1時間30分、3,600yen。

各停で2時間強、1,940yen。

From Tokyo station to Hota station, It takes about 1 hour and half (express),

Or 2 hours (local train)

 

<バス By Bus> HOME | ジェイアールバス関東

東京駅八重洲口から「ハイウェイオアシス富楽里」まで、

JRバス関東「房総なの花号」で1時間20分、2,300yen。

(富楽里から電車でも来られるけど、送迎がある時に利用価値大。)

From Tokyo station (bus tarminal) to Highway oasis Furari, It takes about 1 hour and 20 min.

(If someone picks you up at bus stop, This is good way.)

 

<高速船(期間限定)By ship (Limited time offer)> http://www.tokaikisen.co.jp/

期間限定で、「竹芝」発の東海汽船伊豆七島便が「館山」にも停泊します.

東京から直接、島旅気分で南房総エリアへ。

現時点では6月14日~30日の便が対象。

1時間15分、3,950yenで東京と館山を結んでいます。

港からJR内房線「館山」駅まで歩いて10分、電車で「保田駅」まで20分強、320yen。

From Takeshiba terminal to Tateyama port, It takes about 1 hour and 15 min.

From the port to Tateyama station by walk, It takes about 10 min.

From the Tateyama station to Hota station by train, It takes about 20 min.

 

<クルーザー By Cruiser>

東京湾内のマリーナから保田漁港まで、東京湾内なのに離島クルーズ気分で。

クルーザーが利用できるなら、一番おすすめの方法です。

From each marina in Tokyo Bay to Hota fishing port.

 

ハワイ

ワイキキってこんなとこなんだ。

f:id:fiftyone29:20140219160256j:plain

シアトルと成田の往復には、マイレージを使ったんだけど、途中のハワイ寄っても必要マイルは変わらないから、ハワイに寄って帰ってくるプランを立てた。

ハワイっていつでも行けるかなぁなんて思いながら、機会が無かったので、今回が人生初ハワイだった。

オアフ島ホノルルに3日、その後ハワイ島に1週間、オアフに戻り4日の滞在予定。

ハワイ島で会うことにした友人達に日程を合わせたので、計2週間の長めの滞在になった。

 

まずホノルルのワイキキエリアに着いて驚いたのは、日本人の多さ。

韓国系や中華系の人もいるけど、やっぱり日本人が多い。

しかも家族や社員旅行、卒業旅行とか、団体来てる人多いから目立つ。

当たり前だけど、日本人以外も2人連れ以上が多いから、特に日本人の一人は居た堪れない感じ。

ってわけで、一人旅で現地に友人も居なければホステルを選ぶのがいいと思う。

宿泊客とは、日本人も含めた色んな人といい出会いが出来た。

 

そんなホノルルに感じたことを一言で表せば、熱海+銀座だなぁってこと。

海はきれいだし、常夏だし、ぜんぜん違うだろって言われるだろうけど、ワイキキのビーチが人工で狭く、建物も建て込んでるし、冬の夜は肌寒いくらい涼しいことなんかはイメージと違った。

そして店は多いし、ビジネス街も大規模だから、かなり都会っぽい。

そりゃ熱海より、グアムのイメージに近いのはそうなんだけど、グアムはもっと暑いしもっと田舎で、ワイキキあたりとはちょっと違う。

一言でいえば、アメリカっぽさを感じるのはグアムの方だ。

なので、日本人がハワイに来たがるのも理解できる。

日本語が通じるってことだけじゃなく、海外なのに海外感が強くなくて安心できるからだと思う。

だから、日常の延長で海外に来たい時には、居酒屋も丸亀製麺もあって、そこで会社の愚痴とか言えちゃうわけなんだけど、もっと海外っぽさを感じたい時にワイキキは違うってのが良く分かった。

 

ということで、ハワイ島

f:id:fiftyone29:20140223182448j:plain

ハワイ島は火山列島ハワイの中で一番新しい。

なのでコナ空港も、だだっ広い溶岩の大地にあって周囲は殺伐としてる。

空港の中と周囲の道だけ、取って付けたようにやしと芝生がある。

コナの町まで行けば建物も木もあって「町」になるんだけど、ハワイ島の第一印象は人が住んじゃ行けないとこって感じだった。

これまでの経験では自然っていうと、生き物がたくさんいるイメージだったんだけど、むしろ生物を寄せ付けない畏怖すべき自然ってイメージだ。

滞在を通して分かったは、昔から人が住むエリアには生き物があふれる自然がある。

だけどそういうエリアは点在してて、その間、溶岩の中延々と続く道を走っていると何か恐怖感を覚える。

そういう生物に覆われる前の自然を見るってのは、とても不思議な体験だった。

ハワイ島観光ってことでは、キラウエア火山の目の前を流れる溶岩流と、国立天文台のあるマウナケア山での星、そして王家の谷・ワイピオ渓谷を見たかったんだけど、溶岩だけはガイドしてもらわないと見られ無いらしい。

それでも溶岩に道が埋もれるところや、マウナケア頂上からサンセットと星は見応えがあるし、ワイピオはタロイモの葉っぱが故郷のサトイモを彷彿させて落ち着く。

f:id:fiftyone29:20140224152124j:plain

そんなハワイ島で特に印象に残ったのは、まずコーヒーのうまさ。
ただファミレスみたいなとこでは、あんまりうまくないので店を選ぶ。

あと、カイルア・コナの「寿司しおの」。

寿司もうまいんだけど、男性トイレにはシャワー機能が付いてるのが良い。

今回の旅全体を通して、ついぞこの1か所しかシャワー機能が無かった。

日本のトイレメーカーも海外進出頑張ってるみたいで、シカゴではTOTOのショールーム見たけど、この普及率は低いんだと思う。

ハワイ島行ったら、また「しおの」に行きたいと思わせる動機付けになった。

 

日系人とハワイ

またオアフに戻り、今度は車で島を巡った。

目的は、自然のきれいな海と地元の暮らしを見ること、そしてパールハーバーに行くことだ。

ハワイには日系人が多い。

これは個人の意識に関わるから、具体的には難しいと思うけど、タイ系のタクシー運転手は2割くらいじゃないかと言っていた。

会社名や道路名、スーパーにひなあられが売っていたりする所で、日本文化の濃さを感じた。

ノースショアでAirbnbさせてもらったところは日系人の家で、父親がサトウキビ工場で中間管理職をしていた話や、退職後の蓮根栽培をしていた話等、日系人の生活を窺うことができた。

一方、そんなハワイにはパールハーバーがある。

今回、不思議な縁で台湾人の大学研究生達と一緒に行くことになった。

パールハーバーには太平洋戦争の降伏文書の調印式を行った戦艦ミズーリがある。

入場料を払い、基地内の戦艦まで専用バスで行くと、英語はもちろん、日本語や中国語のガイドが居て、船内ツアーをしてくれる。

彼らはすごくフランクで、せっかくだし記念写真を撮ろうってことで、近くにいた卒業旅行の日本人大学生たちに声をかけて、一緒に写真を撮ったりもした。

彼らいわく、かつて日本人は中国人も殺したけど、昔のことだからとすごくあっさりしてた。

そんな会話を、ワイキキの韓国料理屋で、カルビ焼肉弁当をつまみながらできることは、ありがたいなぁと思う。


旅の最後に、日本のおもてなし

以前も書いたが、旅を通じて不便だなぁと思っていたのは、初対面の日本人同士だとよっぽど年下じゃない限り、敬語を使ってしまうことだった。

英語だとフランクにできるのに、敬語で最初に壁を作り、仲良くなると壊すってのがちょっとまどろっこしく感じるからだ。

そんな中、ホノルル空港のIASSラウンジでは、とても良い体験ができた。

ちょうど自分が入る時、出ていく一人の客に対して、受付の方が「次はいつ来るの?いってらっしゃい」とタメ口で声をかけていた。

言い方は失礼かもしれないけど、まさに見た目も対応も「おばちゃん」だった。

そこで思ったのは、これってスナックの対応に似てるなぁってことだった。

おもてなしとかサービスの究極を求めると、一つの方向性としては執事のようにへつらって尽くすやり方に行きつくだろう。

高級旅館とかでイメージするきめ細やかなサービスってのは、こういうのだと思う。

その場合、客も緊張感を持たないとならない。

そういうような客を高ぶらせるタイプの心地良さ、これもサービスだと思う。

だけどもう一方の方向性は、スナックであるような、フランクだけどそこそこ気の利くっていうようなサービスなんじゃないかと思う。

客に緊張感なんか必要無くって、だけど受け入れられてる感じの心地良さを感じることができる。

たぶん「おばちゃん」的な対応ってのが肝なんだろう。

上下関係とか関係無いタメ口の関係の心地良さは、敬語社会に居る人だからこそ感じる安らぎなわけで、違う社会には無いだろうというところは面白いかも知れない。

「おばちゃん」は、自分が帰る時にもまた来てねと言ってくれた。

何だか素直に、また来たいなぁと思った。

シアトル

冬→夏→冬→夏→冬(いまここ)→夏→冬 

f:id:fiftyone29:20140208155100j:plain

キューバからは、一度メキシコ・シティに戻ってからシアトルへ。
この町の郊外にアメリカ人の友人が住んでいたので、2週間彼らの家に滞在していた。

今回の旅では、季節が目まぐるしく変わっていたため、さすがに体調が悪くなってきていた。
特に寒波の影響で、本来暖かいはずの南部が寒かったのにやられた。
あとはニューヨークを出てから、特にアメリカ南部は旅程が詰まってたし、加えてメキシコやキューバの空気の悪さで喉もやられたみたいだった。

実はマイアミに行く前に、シアトルも数日滞在してた。
だから、パブリックマーケット周辺のガムが貼り付けられたガムウォールやスターバックス一号店、郊外のボーイングの工場見学等々見どころはいくつか見ていた。
そこで、シアトルではゆっくり体を休め、シアトル住民気分で過ごした。
朝は、友人を車で送りつつ、毎回違うカフェでコーヒーを買い、家で軽めの朝食。
昼間家では、PC作業や、映画を見たり、昼寝したり。
(映画はアメリカンサイコ、二郎は鮨の夢を見るロスト・イン・トランスレーションアウトレイジとか、敢えてアメリカで見ると面白そうなのを選んで見てみた。)
車では、周辺のアジア食材スーパーや、コストコ一号店を回りながら、森の中をドライブ。
昼食は、インスタント麺や何かで軽くすませ、夜は友人を迎えに行って、家で何か作って食べてた。
そんな感じでゆっくり過ごすうち、体調も回復。

f:id:fiftyone29:20140209201449j:plain

 

シアトル、そしてアメリカ人の生活

シアトルは北海道より北にあるけど、冬でも関東と同じくらいの寒さだと感じる。

ただ雨が多い。
そこでみんな何をするかと言えば、家で映画やネット動画を見たり、テレビゲームをしている。
アメリカではネット映像配信サービスのNetflixがすごく発達してて、一般家庭やホステルなんかでもかなりの導入率。
このサービスは、車での移動が前提のこの国だからこそ、急速に普及したんだと感じる。
まれに映像が乱れたりもするけど、そんなことを気にしすぎないって文化もあるだろうと思う。
同じように、閲覧回数がけた外れに多いネット動画があるのは、家で家族や友人とネット動画を見る文化があるからだと思う。

そんな中で感じたのが、この国では結構選択肢が少ないってことだった。
もちろん、ビールの種類は、違いがわからない程豊富だし、車メーカーは多くないけど、各社のブランドと車種は多い。
でも、例えば音楽だって多様にあるはずなのに、ラジオをかければ同じ曲が一日に何度もリピートされる。
特にシアトルに居ると、昨年流行った地元出身のマックルモアがひたすらかかってる。
浄水器のブリタは、全部の家にあるんじゃないかと思うほどの普及率。
家電なら国内メーカー・フリジデールとGE、海外メーカー・サムスンかLG。
日本の白物家電は売ってない。
そんな家電を扱う量販店は、何処へ行ってもベストバイ、ターゲット、総合スーパーならウォルマート。
カフェならスターバックス一強。
これが自由競争の結果なんだろうと思う。
市場占有率のトップがシェアを大きく獲得する構図がはっきりしている。
人口も面積も大きなこの国で、日本より選択肢が少ないってのが不思議な感覚になる。
逆に日本の商品の選択肢の多さが不思議なのかもしれないけど。

アメリカにいて、そんな選択肢について考えている中、ロシアの話を思い出した。
ロシアではコカコーラ、ダイエットコーク、ペプシ、さらにはスプライトも、全部ソーダと呼ぶんだそうだ。
それは国営工場で物を作っていた当時の名残りで、配給が前提であれば製品を差別化して競争するなんてことが必要なくて、むしろ多少違っても物量を供給する方がいいから、甘い炭酸水は全部ソーダと呼んだらしい。
いつの話なのかわからないし、真偽も確かめてない。
だけど、これって今の資本主義経済の一つの欠点を言ってると思う。
ほとんど違いの無いものを差別化して売ろうとする。
ある意味で選択肢が少なくなるってのは、この問題に対する解決策なのかもしれないなぁなんてことを思った。

 

長くアメリカ人と過ごすことで、感じること。

友人宅で長く過ごしていることで、アメリカ人の素な部分が良く見えたと思う。
それはある部分で日本の人と変わらないし、ある部分ですごく違う。
例えばアラサー女性が話している内容は、所変わっても変わらず、結婚のこととかザ・女子トーク。
女子複数の中に男一人は居心地が悪い。
毎朝配信される自己啓発系メッセージアプリがあったりするのは、形は違うけどどこの国でも変わらないと思う。
一方で、現地の社交界「レーニアクラブ」に連れて行ってもらって話した財界人達は、シアトルってことを差し引いてもすごくリベラルで驚く。
例えば、ヒッピー文化の進化系イベントのようなバーニングマンに行きたいねぇって話をしていたり、自分がこれから始めるゲストハウスにも、自由に意見をくれたりする。
アメリカってところは、日本に比べると多様な文化と価値観の人がいるってことを肌で感じる。
そして、人種や考え方の違いで分断されていると感じるところもあるし、うまく尊重しあえているところもある。
アメリカ人でも、アメリカが好きじゃない人だって居る。
だからこそ、個人と家族を大切にするんだってことを強く実感する。

f:id:fiftyone29:20140212162709j:plain

ビニャーレス

バス停に着いたその時、次の行き先は決まった。

f:id:fiftyone29:20140203183646j:plain

それはビニャーレスという町。
そもそもハバナから数時間のバスで行ける所と言ったら、リゾート地バラデロ、古都トリニダード(トリニダー)、奇岩の谷ビニャーレスの3か所が有名。
1人でリゾートに行く気はしなかったから、トリニダードかビニャーレスに行くつもりだった。
ただ、バス停について係の人に聞いたら、トリニダード行きのバスは10分前に出発していた。
でもビニャーレス行きのバスはこの後出るよってことだったので、迷わずビニャーレスに行くことにした。
ハバナの宿で出会った旅行者には、バスが無ければ戻って来ると伝えていたけど、ビニャーレスはメキシコで知り合った旅行者に強く薦められてところ。
なので行ってみたい気持ちが強かった。

 

のんびりした田舎の高速道路みたいな道をバスでひた走る。

f:id:fiftyone29:20140203151759j:plain

畑や荒れ地が続く中、ときどき遠くに見える工場の煙突からは、真っ黒な煙が吐き出されている。
その道をまたぐ橋がちょくちょくかかってるんだけど、必ずその下には地元の人たちが居て乗り合いバスを待っている。
暑い日差しや突然の豪雨を避けるためなんだろう。
ところどころに国威発揚的なスローガンが掲げられた看板もある。
こういう南国感の強い場所だと、社会主義的なスローガンでも、なんだかマイルドに感じるから不思議。

その日はもちろん宿なんて決めて無い。
どうしようかちょっと不安になりつつ、でもなんとかなるだろうとは思っていた。
そんな時、隣に座っていたおじさんが話かけて来た。
どこの国から来たのかとか、まぁ他愛の無い会話。
そこで自分の名前を紹介したところ、思いがけずキューバ人の日本イメージに触れた。

キューバで野球が盛んなのは有名。
そんなキューバ人にとって、日本が最初のWBCワールド・ベースボール・クラシック)でキューバに勝って優勝したことは相当なインパクトだったらしい。
自分の名前は、そのときのWBCに出ていた選手と同じ名前。
だから親近感を持ったらしく、一発で覚えてくれた。

彼と会話してしばらく経ってから、彼はかばんから何かの紙を取りだした。
どうやら自分の親戚がやっている民宿に泊らないかって話だった。
それが相場の値段なのかわからなかったので、もう決まってるって言って断った。
すると彼はバスの中を歩き回りながら、バスの乗客に宿のあっせんをしていた。
その後、彼にはビニャーレスの町でもあったし、帰りのバスでも会った。
そこでわかった。
彼はハバナとビニャーレスを往復しながら、宿のあっせんをする仕事をしていたってこと。
では、なんで彼がわざわざバスに乗って営業しているのか。
それは、バスが目的地に着くとすぐに理解できた。
バスから降りると、自分の民宿に客引きするおばちゃんたちにものすごい勢いで取り囲まれる。
多分20人は居たと思う。
話はずれるけど、南の国では女性が良く働くんで、うざいんだけど、ちょっと尊敬する気持ちがある。
そんな輪の中で、誰の所がいいのかわからずちょっと迷っていると、何となく一人のおばちゃんについて外に出た。
その人、最初は英語を使っていたけど、どうもほとんどスペイン語しか使えないみたい。
でもまぁ値段もそんなに変じゃなかったから(食事代入るかとかうまく交渉できなかったけど)その人の所に決めた。

その宿では初めての日本人だったらしく、お互いに片言の英語とスペイン語でいろいろと話ができたし、一生懸命にもてなそうという気持ちが伝わってきた。

f:id:fiftyone29:20140205064901j:plain

 

そんなビニャーレス、なかなかにいいところ。

f:id:fiftyone29:20140204095507j:plain

まず町が小さくて、ほっとする。
車もそんなに走って無いから空気がきれい。
奇岩地帯はとにかく自然にあふれてて、きっとエデンの園ってこんな感じなんじゃないかと思うくらい雰囲気が良い。
ハバナと違って遊ぶところはないけど、町の人が観光客ズレしてないのもゆっくりできる。
2泊しかしなかったけど、本当にゆっくりするには良いところだとおすすめできる。

 

二重通貨制

キューバの情報は事前に調べずに行ったので、いくつか驚くことがあったんだけど、一番の衝撃は2つの通貨を使い分けていること。
ハバナでは外国人料金の高さに辟易してたけど、まぁそういう国はよくあるから、それだけなら仕方ないと思える。
だけどこの国は、外国人が使う通貨CUCと国民が使うCUP(ペソ・クバーノ)を使い分けていて、交換比率は1CUC=24CUPになっている。
外国人でもペソ・クバーノを使えないわけじゃないけど、現地の人に聞いたりしないと難しい。
この制度、外国人観光客からの外貨は欲しいけど、インフレで国民が困窮するのも困るってことから取り入れているとのこと。
これはメキシコに戻ってから会った日本人のキューバ音楽家と話してわかったけど、実はこの国のシステムを動かしている人たちはかなり優秀。
今後は適度にインフレさせつつ、いずれペソ・クバーノは無くす予定だそうだ。
外国人の自分としては、ちょっと腹立たしくも感じつつ、面白い試みだと感心する。

 

キューバに行ったらぜひ挑戦したい料理

それはナポリタン・スパゲティ。
しかもこれが国民食らしい。
今回キューバに行くまでは、日本発祥の食べ物で日本にしか無いと思ってたからかなりびっくり。
何かの間違いかと思ったけど、スパゲティの麺にトマトソースがかかってて見た目は似てる。
だけど、味は正直言って旨くない。
ぶよぶよにのびた麺に、塩気の無いトマトソースととけるチーズが乗ってるだけ。
これもキューバ音楽家に聞いたら、この料理はアメリカの経済制裁後の物資不足でできた食べ物らしい。
少しでも麺を増やすために一度ゆでた麺を水に漬けてふやかし、それを食べる前に暖めなおしてソースをかけて作るそう。
彼曰く、慣れてくるとこの味が恋しく思えるらしい。
それ以外の食べ物も、中南米的な豆のスープやふかしたタロイモとか、スパイスは効かせるけど、こざっぱりした料理が多い。
豆好きな自分としては、ピザとハンバーガーと違って食べ続けられる。
インドあたりの南アジア料理が好きなら、行けるんじゃないかと思う。

 

キューバのこれから

今はまだ、革命を指揮したフィデル・カストロが生きている。
親米的な考えの有力者も居るみたいだけど、彼の存在が反米体制を維持したい勢力の支柱になってるとのことだ。
彼が居なくなったとき、きっとこの国は変わるだろうと言われてる。
アメリカの目と鼻の先にあるのに、ここまでアメリカを排除できていること自体、すごいことだと思う。
もし親米な国になったとしたら、この国の雰囲気は変わるかもしれない。
一時的には政治的な混乱で入国できなくなるかもしれないとも言われた。
だから今のキューバを見るなら、今行くしかないよねって、キューバに行った旅行者たちとは話した。
もしキューバコカ・コーラが一般的になったなら、コークで作ったキューバ・リブレが普通になるのか。
そんなことを思う。

f:id:fiftyone29:20140203133815j:plain

ハバナ

キューバに行った訳

f:id:fiftyone29:20140201144452j:plain

今回の旅では、もともとアメリカ合衆国の本土(以下、アメリカで。)を回ったあと中米、できれば南米まで足を延ばすつもりだった。
でも、その場その場で予定を決めてったらアメリカに長く居ることになったので、アメリカから2週間程度で行って帰って来れるところを考えた。
その結果、どっちにしても隣国だし、建築と文化に興味があったメキシコは行くことにした。
さらにその先、メキシコだけでも良かったんだけど、せっかくだからもう1カ国くらい行こうと思って選んだのがキューバだった。
そんなキューバを選んだのには2つ理由がある。

理由の1つは、キューバまで150kmしか離れていない、アメリカ本土の最南端、キーウェストにあるサウスポイントってとこまで行って、キューバを近くに感じたこと。

ここからは陸路で繋がっているマイアミまでは600kmも離れていて、キューバの方が近い。
そんなマイアミには、キューバ系の人が多く住む。
だけどアメリカからこの国へ、直接行くことができない。
島国のキューバには、普通飛行機で行くんだけど、いまだにキューバとアメリカは敵対関係にあることからアメリカからは航路が無い。
だから日本からはメキシコ経由か、カナダ経由が一般的。
せっかくメキシコに行くなら、キューバにも行ってみたい。
それが2つ目の理由だった。

ただ一つ心配があった。

アメリカはどんどん入国審査が厳しくなっていて、何時間も質問攻めに遭ったなんて話はしょっちゅう聞く。
そんなアメリカ入国審査の厳しさを知っている日本人の旅行者の間では、キューバに入国してからだとアメリカに入れないんじゃないかって噂が飛び交っているような状態だった。
後は、キューバの物をアメリカに持っていくと没収されるって話もあった。
もし何かあっても嫌だったんで、旅行代理店に問い合わせてみた。
すると、キューバではパスポートへの入出国印を押さず、別に用意するツーリストカードへのスタンプで対応するから、平気とのこと。
ただ、アメリカ入国審査のときに、チェ・ゲバラのTシャツ来てるとか、キューバ産の物を手に持っていたりすると別室取り調べの可能性があるそうだ。
実際に、自分もアメリカ入国したけど、かばんの奥にしまったラムとかは取られることなく無事入国できた。
でもこれは自分の場合ってことなんで、確認した方がいいと思う。

 

入国審査

そんなこんなで普通の国へ行くのとは、ちょっと違う感慨を持って、キューバの首都、ハバナ空港に到着。
国交もあるから比べるのは違うんだけど、でも北朝鮮に入国するときなんかに似た感覚かもしれない。

久しぶりにドキドキしながら、ハバナ空港の入国審査を待つことに。

このドキドキには訳があって、実は海外旅行保険証書の提示を求められるって話を聞いていたからだ。

今回はちょっと長旅だったこともあり、カード付帯保険で済ますつもりだし、証書なんて持っていない。

旅行代理店では、平気ですって言われたけどちょっと不安。

そして、自分の番が来た。

20代前半の女性の係員だった。

やっぱり「旅行保険の証書はありますか?」って聞かれ、「カード付帯の保険はある。」って答えた。

それを見せろと言われたので、困った感じでクレジットカード自体を見せると、ちょっと苦笑いしながら「O.K.」と一言。

さらに、それまでの硬い表情を和らげ「ようこそキューバへ!」なんて、言ってくれる。

入国審査の人って、感じがいい人はあんまり多くないし、特に社会主義国ではなおさらそうなんだけど、緊張していたこともあって、今回はなんだか幸先がいい感じがする。

 

ハバナの町

空港では、日本語のできるオーナーがやっている民泊の宿を確保し、町へはレトロなタクシーで。
そして世界遺産の町並みを歩き、町のレストランで食事する。
するとだんだんハバナの町がわかってきた。
ハバナの町は、スペイン統治の名残がある建物を背景に、アメリカと離別するまでに輸入した50年代の旧車が走る。
これが観光客がイメージするキューバハバナ
実際に観光客はかなり多い。
ただそこに居る白人のほとんどがアメリカ人では無いって考えると、世界でもかなり珍しい場所だと思う。
彼らの大半はヨーロッパからの観光客で、しかもお金と時間があるような年配の人が多い。

f:id:fiftyone29:20140201164408j:plain

観光地区は良く整備されてて、とても雰囲気がある。
だけど周辺まで足を延ばすと、建物は古く薄汚れている。
つまり、観光地区は外国人を呼ぶためにだいぶ作り変えたものだってことがわかる。
また、旧車も外側だけ当時のもので、外見以外は入れ替わっている。


そして店に並ぶ商品もかなり少ない。
この国には、コカ・コーラマクドナルドが無いってのを、空港からのタクシー運転手は自慢げに言っていたけど、おおっぴらにはアメリカ製品が売ってない。
今でも社会主義を名乗っていることに誇りに思っている人は多いみたいだけど、観光客向けの店も、現地の人の店も商品の少なさと、中国製の多さが目立つ。
またアメリカから来た身には、ほとんどインターネットが使えないことも結構しんどい。

使えるとこもあるけど、1時間800円とかそんな感じ。
だからキューバに行ってから音信不通になり、捜索願いを出されそうになるなんて話はよく聞く。


そんなキューバではキューバで作ったコーラが売ってる。
そこで思ったのは、ラム・コークとキューバ・リブレ(現地ではクーバ・リブレ)の違いのこと。
キューバ・リブレは、「キューバの自由」って意味のラムとコーラで作るカクテルだけど、ラム・コークとは同じレシピ。
これまでは呼び名の違いってくらいにしか思ってなかった。
だけどこれって、コカ・コーラ=コークをアメリカの象徴って考えると、この2つの国の対立が表れているってことなのかもしれない。

そしてキューバと言えば、サルサの国。
音楽好きの現地の若い連中が遊ぶような店もあるんじゃないかと思って、町の中を探した。
観光客中心のクラブはあったけど、どうも現地の人が行きそうな感じがしない。
それもそうで、やっぱり貧富の差が大きなこの国では、音楽を聴くために店に行くのは金持ちのやることなんだろう。
じゃあ町の人がどうやって音楽を聴いているかと言えば、それはこの町に1日も居ればすぐわかる。
そこら中の家から大音量で音楽が流れているからだ。
それほど生活の中に音楽が溶け込んでいる。

だけど、中にはアメリカの最近流行ってる曲もあったりして、やっぱり文化の突破力を感じたりする。

 

そんなハバナに3日居て、他の町にも行ってみようと思った。

見どころはまだあったけど、外国人の行く店では物価もそんなに安くないし、排気ガスのせいか大気汚染もひどい。

そして何より発展途上国の都市でよくある商売人とのやり取りにも少し疲れて来てもいたからだった。

そこで5日間の短い滞在日程ではあったけど、バスに乗って郊外の町を目指すことにしてバスターミナルへと行ってみることにした。

メキシコシティ

大都会メキシコシティ

f:id:fiftyone29:20140130111745j:plain

この町に着いて、すっかりメキシコとメキシコシティのイメージが変わった。
強い日差しに映えるカラフルな建物が並び、スペイン風の建物が残る歴史地区やインカ文明等の遺跡が街中にもある、それがこれまでのイメージ。
もちろんそういうところもある。

だから、こんなにオフィスビルがあることに素直に驚いた。
しかもほとんどのビルが新しく、建設中のビルも多い。

そして、そんな通りを歩く、スーツを着たビジネスパーソン達。

世界各国の大都市に行って思うのが、オフィスビルが林立して、スーツを着た人が闊歩するようなビジネス街ってそんなに多くないってこと。
ロンドンやパリだってオフィスエリアは大きくないし、ニューヨークだってマンハッタン島の一部だけって感じ。

同じラテンアメリカ、ブラジルのサンパウロも近いけど、1970年代までのオフィスが多くて、もう少し落ち着いてる。
そんなわけで、世界で一番オフィスビルが多く、スーツ着た人が多いのは東京だと思う。
でも、メキシコシティのオフィス街もかなりの規模。
スーツを着た人がこれだけ町にいる感じは、ちょっと懐かしい。

 

西洋か、東洋か

アエロメヒコの機内誌に、メキシコ人の自己イメージを垣間見せる面白い記事があった。
その記事は、世界を変えたアニメーションって記事で、5本のアニメーションを中心に世界のアニメーションの潮流を説明したものだった。
選ばれた作品は、ディズニー、ピクサーのアメリカ映画と、日本の「アキラ」と「千と千尋の神隠し」だった。
日本のアニメをメキシコ人が語ってるってことも面白かったけど、この2作品に対しての説明書きが興味深かった。
それは、どちらの作品も西洋と東洋の橋渡しをした作品だというもの。
これを読んで、自分の認識と、メキシコ人の認識が違うんだろうってことに気付いた。
自分はこれまで、日本や中国等の東洋、欧米の西洋、そしてそれ以外の世界としてのメキシコ等の中南米という整理をしていた。
でも、少なくてもこの記事を書いたメキシコ人は、自分たちを西洋人だと思っているってことだろう。

これで少し腑に落ちたことがある。
アジア的なごちゃごちゃ感はあるんだけど、とてもすっきりとデザインされた交通機関や建築物も多い。
例えばメキシコ人建築家、ルイス・バラガンの建物なんかは、光や色の計算のされ方が天才的で感動した。

f:id:fiftyone29:20140131113907j:plain


そういうところへのこだわりから、この国が混沌としたアジアとは違うなぁって思っていた。
実はメキシコ人の大部分は、白人と先住民の混血だそうだ。
きっとそういうところから、ヨーロッパ人のプライドを持ってる人が多いんじゃないかと思った。
この話をアメリカの友人にもしたところ、彼らの感覚も自分と近いものだったらしくて、興味深いねって言ってた。

 

メキシコ滞在以後、人にはこの国を「タイとヨーロッパがごっちゃになった国」だよって紹介している。
町の活気、食べ物の種類の多さ、服のセンス、人の明るさ、LGBTへの寛容さとか、どこかタイに似てる。
そして洗練されたデザインの部分はヨーロッパ的。

こういう、文化が混ざった感じはスリランカにも似てる。

インドの混沌が基調にありながら、イギリス植民地時代の文化も色濃い感じ。

メキシコは、メキシコシティとティオティワカン遺跡くらいしか行けなかったけど、もし日本から近かったらすごく人気が出ると思う。
個人的には、古代文明テキーラの奥深さにも感動したんで、そういう意味でもお勧めの行き先。

f:id:fiftyone29:20140130151552j:plain