サン・アントニオ

ものづくりへの安心感

 自分はものづくりなんて、もういわゆる先進国には無理なんじゃないかと思っていた。

将来的にどうなるかはわからないけど、これまで色んな国を回ってて思ったのが、工場がそこら中にある国なんて本当に少ないってこと。

もちろん中国には多い。

でも先進国の中で、ドイツ、もちろん日本、そしてアメリカは、ものすごい工場が多い国だと思う。

極端に言えば、その他の国に行くと、日用品でさえもいったいどこで作っているんだろうて思うほど工場を見ない。

もちろん交通機関が工場のそばを通ってないってのがあるかもしれないけど、先に挙げた3つの国は、高速道路からでも、電車からでも、頻繁に工場を見るわけで、やっぱり工業国なんだと思わされる。

 

もう日本よりも先に工場が外国へ移ってしまったアメリカみたいな国でさえ、本当にしょっちゅう工場を見る。

五大湖の沿岸もそうだし、テキサス州も石油精製工場を始め工場が多い。

アメリカの工業は終わったとかって言ったって、他のいわゆる途上国からしたら工業先進国に見えてるは間違いないと思う。

 

金融は行きつくとこに行くと、自分たちで自分たちをだましあって成立してるペテン臭さがあるし、情報システムは、今使えているものが数年で全く使えないものになってしまうような移り変わりの早い世界。

そういう中で、メーカーは実業として信頼できるみたいな感覚がたぶん存在している。

日本でもアメリカでも、メーカーの人は、金融やシステムの業界よりも上だと思っているような節を感じる。

それはテキサスのようなオイル産業の世界もそうで、システムだとかなんとか言っても所詮オイルとコンピュータが無いと動かないじゃないか、みたいな。

そしてこれから、環境破壊懸念はあるけど推進されるだろうシェールガス採掘でエネルギー価格が下がるだろうし、アメリカ人のマインドも国産を求める方向に変わってきているし、メイドインU.S.A.の存在感は少し揺り戻すと思う。

南部ではそういう地に足のついた安心感みたいなものがあるように感じた。

 

そんなアメリカ南部でも、特にアメリカ人が好きな町、それがサン・アントニオ。

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この国は歴史が浅いことがコンプレックスになってるわけだけど、その中でも古めな歴史的戦いの舞台「アラモ砦」と、スペイン風の建物と運河「リバー・ウォーク」がありアメリカのベニスとかって言われる。
残念ながらあんまり歴史には興味がわかなかったけど、再開発事例としては有名な場所なんで、滞在を楽しみにしていた。
 
水辺の環境の作り込みについては、滝や湧き水、建物の中を通る流れだとか、水路への流れ込み方にバリエーションがある。
また石畳の遊歩道も、トンネルや飛び石など散歩したくなる仕掛けになっていて気持ちいい。
ただ難を言えば、そこかしこに作り込まれてる感じがあってちょっと鼻につく。
言って見ればディズニーランド的。
 
これは、アメリカって国の全体に言えるわけだけど、東海岸なんかの古い町以外の建物は、良く言えば軽やか、悪く言えば薄っぺらい。
とは言え、エリアによってちょっと違って、温暖で乾いた地域の建物は本当に軽い感じな一方、北の方の湿り気のある地域だとちょっと歴史的で地域性を感じられる。
残念に思うのは、日本のロードサイド型の商業施設は、温暖で乾いたエリアのビジネスモデルを、建物まで含めて輸入してしまったことだ。
だから同じ薄っぺらい建物であっても、湿り気のあるエリアの建物を真似すればもう少し日本の環境にあっていた気がする。
どっちにしろ、海外の建物がそのまま日本の気候に合うわけないから、一緒だって言われればその通りかもしれないけど。
 

今までイメージのあまり無かった南部を、ミシシッピ州からテキサス州まで旅して来た。

たぶん他の日本人でも、カリフォルニアやシアトル、ニューヨークなんかに比べると、あんまり接点が無いエリアだと思う。
でも、地に足が着いている感じや、気候の感じについては、想像以上に心地良かった。
今回の旅ではアメリカ本土の外側を回ることになったけど、もし次回以降チャンスがあれば、内陸の町にも行ってみれたらと思う。
きっと違う発見があるだろう。