ハバナ

キューバに行った訳

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今回の旅では、もともとアメリカ合衆国の本土(以下、アメリカで。)を回ったあと中米、できれば南米まで足を延ばすつもりだった。
でも、その場その場で予定を決めてったらアメリカに長く居ることになったので、アメリカから2週間程度で行って帰って来れるところを考えた。
その結果、どっちにしても隣国だし、建築と文化に興味があったメキシコは行くことにした。
さらにその先、メキシコだけでも良かったんだけど、せっかくだからもう1カ国くらい行こうと思って選んだのがキューバだった。
そんなキューバを選んだのには2つ理由がある。

理由の1つは、キューバまで150kmしか離れていない、アメリカ本土の最南端、キーウェストにあるサウスポイントってとこまで行って、キューバを近くに感じたこと。

ここからは陸路で繋がっているマイアミまでは600kmも離れていて、キューバの方が近い。
そんなマイアミには、キューバ系の人が多く住む。
だけどアメリカからこの国へ、直接行くことができない。
島国のキューバには、普通飛行機で行くんだけど、いまだにキューバとアメリカは敵対関係にあることからアメリカからは航路が無い。
だから日本からはメキシコ経由か、カナダ経由が一般的。
せっかくメキシコに行くなら、キューバにも行ってみたい。
それが2つ目の理由だった。

ただ一つ心配があった。

アメリカはどんどん入国審査が厳しくなっていて、何時間も質問攻めに遭ったなんて話はしょっちゅう聞く。
そんなアメリカ入国審査の厳しさを知っている日本人の旅行者の間では、キューバに入国してからだとアメリカに入れないんじゃないかって噂が飛び交っているような状態だった。
後は、キューバの物をアメリカに持っていくと没収されるって話もあった。
もし何かあっても嫌だったんで、旅行代理店に問い合わせてみた。
すると、キューバではパスポートへの入出国印を押さず、別に用意するツーリストカードへのスタンプで対応するから、平気とのこと。
ただ、アメリカ入国審査のときに、チェ・ゲバラのTシャツ来てるとか、キューバ産の物を手に持っていたりすると別室取り調べの可能性があるそうだ。
実際に、自分もアメリカ入国したけど、かばんの奥にしまったラムとかは取られることなく無事入国できた。
でもこれは自分の場合ってことなんで、確認した方がいいと思う。

 

入国審査

そんなこんなで普通の国へ行くのとは、ちょっと違う感慨を持って、キューバの首都、ハバナ空港に到着。
国交もあるから比べるのは違うんだけど、でも北朝鮮に入国するときなんかに似た感覚かもしれない。

久しぶりにドキドキしながら、ハバナ空港の入国審査を待つことに。

このドキドキには訳があって、実は海外旅行保険証書の提示を求められるって話を聞いていたからだ。

今回はちょっと長旅だったこともあり、カード付帯保険で済ますつもりだし、証書なんて持っていない。

旅行代理店では、平気ですって言われたけどちょっと不安。

そして、自分の番が来た。

20代前半の女性の係員だった。

やっぱり「旅行保険の証書はありますか?」って聞かれ、「カード付帯の保険はある。」って答えた。

それを見せろと言われたので、困った感じでクレジットカード自体を見せると、ちょっと苦笑いしながら「O.K.」と一言。

さらに、それまでの硬い表情を和らげ「ようこそキューバへ!」なんて、言ってくれる。

入国審査の人って、感じがいい人はあんまり多くないし、特に社会主義国ではなおさらそうなんだけど、緊張していたこともあって、今回はなんだか幸先がいい感じがする。

 

ハバナの町

空港では、日本語のできるオーナーがやっている民泊の宿を確保し、町へはレトロなタクシーで。
そして世界遺産の町並みを歩き、町のレストランで食事する。
するとだんだんハバナの町がわかってきた。
ハバナの町は、スペイン統治の名残がある建物を背景に、アメリカと離別するまでに輸入した50年代の旧車が走る。
これが観光客がイメージするキューバハバナ
実際に観光客はかなり多い。
ただそこに居る白人のほとんどがアメリカ人では無いって考えると、世界でもかなり珍しい場所だと思う。
彼らの大半はヨーロッパからの観光客で、しかもお金と時間があるような年配の人が多い。

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観光地区は良く整備されてて、とても雰囲気がある。
だけど周辺まで足を延ばすと、建物は古く薄汚れている。
つまり、観光地区は外国人を呼ぶためにだいぶ作り変えたものだってことがわかる。
また、旧車も外側だけ当時のもので、外見以外は入れ替わっている。


そして店に並ぶ商品もかなり少ない。
この国には、コカ・コーラマクドナルドが無いってのを、空港からのタクシー運転手は自慢げに言っていたけど、おおっぴらにはアメリカ製品が売ってない。
今でも社会主義を名乗っていることに誇りに思っている人は多いみたいだけど、観光客向けの店も、現地の人の店も商品の少なさと、中国製の多さが目立つ。
またアメリカから来た身には、ほとんどインターネットが使えないことも結構しんどい。

使えるとこもあるけど、1時間800円とかそんな感じ。
だからキューバに行ってから音信不通になり、捜索願いを出されそうになるなんて話はよく聞く。


そんなキューバではキューバで作ったコーラが売ってる。
そこで思ったのは、ラム・コークとキューバ・リブレ(現地ではクーバ・リブレ)の違いのこと。
キューバ・リブレは、「キューバの自由」って意味のラムとコーラで作るカクテルだけど、ラム・コークとは同じレシピ。
これまでは呼び名の違いってくらいにしか思ってなかった。
だけどこれって、コカ・コーラ=コークをアメリカの象徴って考えると、この2つの国の対立が表れているってことなのかもしれない。

そしてキューバと言えば、サルサの国。
音楽好きの現地の若い連中が遊ぶような店もあるんじゃないかと思って、町の中を探した。
観光客中心のクラブはあったけど、どうも現地の人が行きそうな感じがしない。
それもそうで、やっぱり貧富の差が大きなこの国では、音楽を聴くために店に行くのは金持ちのやることなんだろう。
じゃあ町の人がどうやって音楽を聴いているかと言えば、それはこの町に1日も居ればすぐわかる。
そこら中の家から大音量で音楽が流れているからだ。
それほど生活の中に音楽が溶け込んでいる。

だけど、中にはアメリカの最近流行ってる曲もあったりして、やっぱり文化の突破力を感じたりする。

 

そんなハバナに3日居て、他の町にも行ってみようと思った。

見どころはまだあったけど、外国人の行く店では物価もそんなに安くないし、排気ガスのせいか大気汚染もひどい。

そして何より発展途上国の都市でよくある商売人とのやり取りにも少し疲れて来てもいたからだった。

そこで5日間の短い滞在日程ではあったけど、バスに乗って郊外の町を目指すことにしてバスターミナルへと行ってみることにした。